久しぶりに気になるニュース

ここのところ、ニュース関連の話題を取り上げていませんでした。まあ、ニュースに関心がないわけでもないのですが、あまりの景気の悪さとかで、私自身の考えを書き始めるとお先真っ暗、国外逃亡推奨みたいな内容にしかならないので、自重しておりました。しかし、流石にちょっとツッコミを入れたい記事があったので久しぶりに書いてみることに。

何その…何?

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090825/176233/
以前はSAFETY JAPANに連載されていたものがnikkeiBPnetでの連載に変更になった、大前先生の記事です。以前のSAFETY JAPANでは、粘着と言っても過言ではない、凄まじいまでに批判的なコメントに晒されていたのですが、流石に耐えきれなくなったのか、nikkeiBPnetに移りコメントを受け付けなくなっております。まあ、記事の内容自体がやや偏っていますし、こういう批判的なコメントが集中するのも仕方ない部分はあったのだと思います。個人的にも、正直賛同しかねる夢想とも取れるような部分も感じられましたので…。
そんな大前先生が、御自身の日本再生のプランを公開されるということで、前回の予告から、ある種楽しみにしていたのですが…なんですかこれは?前半の現状の分析に関してはまだ同意できるものの、中盤以降はトンデモと言っても過言ではないと思いました。
そう書いてしまうと読む気も起きないかも知れませんので、私なりにかいつまんで要約しておくと、東京湾の臨海地区の規制を撤廃、国の持っている土地を販売することで資本を呼び込んで、そこを高級マンションとかが立ち並ぶ一等地に変えてしまおう、ということらしいです。そうすることで、その一帯は国民が皆住みたいと思うような素晴らしい場所になるんだと…。
そもそも、どこにそんな場所を再開発して高級マンションを建てようなんて言う資本が存在しているのか?と。国内(国民)の需要を掘り起こすんですか?海外からの資本を期待しているんですか?
国内だとして、景気が低迷している上、高齢化が進んでいて、そもそもそういう需要自体が低迷している中で、どこの民間企業が一等地になる前の工業地区跡地を再開発するのでしょう?
海外からの資本だとして、その資本にとって何の魅力があるのでしょう?海外からの資本がわざわざ流入してくる理由は、他国と比較して規制が緩かったり、人件費が安かったりといった魅力があるからですよね?日本という国土が狭く、資源も乏しく、人件費も物価も先進国並み、閉鎖的な国民性の国に一体何の魅力が生み出されるのでしょう?文字通り規制を撤廃することで、金を持つ者がおおっぴらにやりたい放題な街だとか、世界中の汚れたお金(と人)の集まるタックスヘイブンだとかを目指すのでしょうか?そして、(そんなわけないと思いつつも)よしんばそれで資本が集中したとして、そのときその一帯は全ての日本国民が住みたいと憧れる…が誰一人として住むことは出来ない街になるんじゃないですか?
このプラン自体が対象を東京湾の臨海地域としている段階で東京一極集中を推し進めるものですし、道州制とか言われていた方向性と逆行するモノじゃないんですか?え?各地で同じように特区を作ればいい?ああ、そうですね。そうすれば、無限に存在する資本が集中と選択も行わずに全ての特区に溢れかえるようになるでしょうとも、良かったですね。
築地市場も情報化によって実体としては存在しなくても良くなる論だとか、何この30年前の21世紀予想図とか。そもそも、経済政策と言って、お金の出所は違うとはいえ、やることは土地売って箱物を立てさせるだけの旧態依然とした土建屋思想。お役所となんら変わらんのですよ。税制優遇措置などを実施して土地を売り払ったとして、後に何が残るのですか?そういう発想(というか妄想)しかできない段階で論外でしょう。
こんなこと考えるくらいなら、アニメ・漫画といったコンテンツ産業の裾野を広げるために、描いた絵や漫画をネットで公開したらどんなくだらない絵や漫画でも絵なら1枚10円、漫画なら1作品100円とかを出す、とか考える方が、まだマシじゃないかと思うのですが*1

*1:個人的には職業柄、技術的な進歩に貢献するような投資を行うことこそが大切と思っていますが、これはこれで評価が難しく偽科学やただの詐欺との区別が付かないようでは意味がないので…