金融安定化法案

面白いことになってますね。昨日は自分のことで精一杯で、全然認識していなかったのですが。

米国の下院にて金融安定化法案が否決された件です。

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M3002W%2030092008&g=G1&d=20080930

世界の経済、ひいては日本の景気、さらには自分の生活に跳ね返ってくることを考えると、面白がっても居られないのかも知れませんが。

まあ、一方で、情報系技術者*1としては、形のない金融なるギャンブルに弄ばれることに我慢がならず、個人的にもざまあみさらせ、みたいな部分はあるのは否定しないので。

今回の件は、米国民の「今まで美味しい目をしてきた奴らを何で我々の金で救わなくちゃいけないんだ」という主張なわけで、それが中々、面白いと思うのです。

http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20080930D2M3000X30.html

そのお金を出さなかったことによる経済への打撃が、ひいては自分たちの生活を悪化させるんだ、米国民はそれを理解できていないという主張も見受けましたが、多分そうじゃないと思うんですよね。

死なばもろとも、むしろ、なんで搾取し続けてきたお前らに金をださにゃならん、地獄へ堕ちろ、と。それくらい格差社会に対する不満が大きいことが原因なんじゃないかと思うわけですよ。

やったッ!!さすが米国民!「国際経済?何それ?We are the world、ワールドってアメリカのことでしょ?地方経済のことなんて気にしてられませんよ、メルヘンやファンタジーじゃないんですから」と平然と言ってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!

今回の件を、民主主義の理想の限界と見るか、最も民主的な国の民意が正しく尊重された結果と見るか…。いえ、一般に日本の報道の姿勢では前者の主張ばかりになりそうな気もするのですが、一方で経済の成長のみを至上命題として、その際限ない経済の加速の結果が実態無き膨張、バブルであったわけで…。まあ、私は専門家じゃないし、経済のことなんてこれっぽっちも分かっちゃいないわけですが、自分にとっての利害は別として、民意が経済に優先されたこと、そのことが興味深いと思う訳なのですよ。

ところで、これが少し前の日本だとそうはならなかっただろうな、と思うのですよ。

党の方針として合意に達したのであれば、まず離反はありえなかったでしょう。自分の地元の議員が賛成したか賛成しなかったかなんて把握している人間は日本に殆ど居ません。むしろ、党の公認を得られなくなったら一大事だという意識じゃないでしょうか。ましてや比例代表なんて制度を介すれば、自民党民主党も賛成に回ったら…他に投票するところが無いじゃないか…で終わってしまう程度の民主主義ですから。国民の反応は、アメリカからの強い要望があってお金を注ぎ込むんだと言われれば仕方ないな、と暗い目で諦めるだけだったでしょう。

政府は政府で米国を始めとする国際世論に押されれば対応せざるを得ない、みたいな対応でしたでしょう。まあ?日本が今の米国みたいに機敏な対応が出来なかったから失われた10年とか言われるわけですが。一方で、米国の迅速な対応は日本という反面教師の事例を見てきたからだ、と言う話もあり。

日本人の反応に話を戻すと、その反応の一端は自分は下層に位置しているのではないという、中流意識が原因でしょう。今までいい目を見てきた奴らを、虐げられてきた我々が救済するというあり得ない話、と認識してないのですよ。虐げられてきたと認識していないわけですから…。そうやって、愚民を上手く飼い慣してきた民主主義の皮を被った社会主義国家、といったところでしょうか。

まあ、逆に今は若い世代から順番に、むしろ世代間格差なんかを強く感じているため、格差への意識や社会への反発なんかも強くなってきているわけで。

さてさて、明日辺りから、ネット上のニュースサイトでも色々まとまった論評も出てくるでしょうし、その辺も楽しみですね。

*1:定義次第では研究者であって技術者じゃないという主張もありえるが