魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語:見てきた

映画、見てきました。とりあえず、ネタバレ抑え気味のお話からスタートで。
感想、面白かったです。普通に。それなりの確率で、ぶちこわしになるんじゃないかと心配してましたが、流石に有る程度きっちりまとめてくるなぁ、と。まあ、考え始めると若干変な所もなきにしもあらずではありますけど…。また、結末に関しては多少の賛否はあるかと思いますが、個人的には、まあ、そうなるだろうなあ、という感じに受け入れられる程度には。
見に行くべきか、と言う点に関しては、元が好きなら見に行って損はないと思います。前述の通り、結末に関しては、微妙に感じる方もいるかも知れないと思いましたが、展開、描写、演出など、原作があってその上で成り立つ要素が楽しいですし。
元は知らないけどこれを機に見てみようかな?という方。元を知らないと、全く楽しめないと思いますので、初めての方は最低限の予習は必要だと思います。あらすじやキャラクターだけでなく、やはり、以前の映像を見ていることで楽しめる部分も多いですので。そう言う意味では、前の前編・後編が良い感じのダイジェスト版になってましたので、そちらを見るのが良いのではないでしょうか。
元も知らないしあまり興味もないけど、話題として聞いたので気になったという方。特に見る必要は有りません。おおよそ殆どの映像作品がそうであるように、これを見なかったからといって、人生において何か致命的な損失を被るようなことは無いと思いますので。心に強く残るほど感動したり、人生における重要な指針となるようなことも無いんじゃないかな?あくまで、娯楽として面白いと言う程度です。


後は…特典に関しては、なんだろう?この熱狂的なファンからむしり取ろうとするかのような仕様は…。1週目、2週目、3週目で特典が違うので、毎週土曜日に3回続けていかないと特典コンプが無理っぽいとか、そもそも1週目のミニ色紙からして5種類あるしランダムだし。トレーディング仕様か!


さて、そろそろネタバレトークと行こうか。


素直に驚きがあって、楽しかったです。
1つは、やはり、あの世界がなんなのか、という部分のお話ですね。ほむらの能力の性質上、別の時間軸の平行世界…という可能性がまず出てくる中で、そうではないという部分に意外性がありました。誰かの意識の中、夢の中というのもありがちなパターンですが、そこで魔女の結界だという発想には思い至りませんでしたね。誰が犯人か、と言う部分は、真相を追求している探偵自身が犯人、というパターンだろうとすぐ思い当たりましたが。
一方で、存在しないはずの魔女が何故いるのか?そこに、誰もが信用していなかったであろうきゅうべぇがからんでいたというのも、まあ、そんな気もしましたが、まさか、あんなろくでもない形で絡んでいるとは思いませんでしたね。ともかく、この世界の真相、という奴に関しては、相当面白かったです。
もう1つは、最後のどんでん返しですね。結界を破れば、きゅうべぇからは認識できない形で、浄化を果たせる、ということから、結界を破ってほむらにお迎えが来て、ちょっと悲しいけど大団円…と思ったら、そこから、割とダークな方向に急展開を迎えるとは…。まあ、ちゃんとわかりやすく伏線は張られていましたけど。


もうちょっと、細かい部分に関して。人の顔が崩れている描写とか、抜けられない街という部分も含め、ホラーテイストの部分も面白いですね。ちょっと気になったのは、最初から実際に存在しているキャラには顔があったけど、居ないキャラは巧みに顔を見せないようなカメラワークがなされていたのか?それとも、ほむらが違和感を感じ始めるまでは、普通に描かれていたのかどうか。いずれ、BD版が出たらよく確認してみようか…。冒頭に、まどか、さやか、杏子の3人の周囲を走る男子が描かれていたのは顔が合った気もするのですが…一方で、教室で顔があるのは、まどからと、恭介(字合ってるかな?)、あと先生に当てられる中沢君だけだった気が。むしろ、なんで、1人男子生徒の顔が有るんだっけ?と思いましたが…それだけ、先生との下りは印象的ということか…。むしろ、冒頭に描かれていた男子生徒が中沢君だったのだとしたら、その徹底っぷりにちょっと感心するところですが…どうなんでしょうね?
新しい変身シーンは…ええ、普通に良かったと思います。まあ、もうちょいくどくても良い気もしますが、テンポの問題もあり5人分ですから、ああいう感じでまとめたんでしょうね。とにかく、マミさんをリーダーとした5人の魔法少女の戦いという序盤のノリは、一度は見たかった姿というファンサービスの部分でしょうね。
お菓子の魔女については、すごいポジションを獲得してましたねぇ。相当ブラックなネタとして、後からもよくマミさんとのセットで描かれてきた人気キャラではありましたが、まさか、ペットのように連れて共闘している姿を見ることになるとは…。一方で、生前の魔法少女…というか、魔法幼女の姿が、入場前のポスターとか、ポップコーンのセットなんかでも描かれていて、重要キャラ?と思いきや、実はあんまり重要でもない…という肩すかし。わざとやってるんだろうなぁ。
戦闘に関しては、一番の見所がほむらvsマミですかね。マミさんすげぇ、と思う反面、ある意味では絶対的な能力に思える時止めから、最初どーやって抜け出てきたんだろうとか、止まったときの中でお互いに銃撃戦を繰り広げていることに、若干疑問を覚えなくも無いですが…。
さやかに関しては、案外いいポジション貰ってるなぁ、と。自在に魔女形態を持ち出すのはちょっと反則。あと、神の遣いモードでは、キャラが変わりすぎとも言えますが。しかし、この世界を望んだのは誰か?それは、裁かれなければいけないほど悪いことなのか、という感じの会話は、本来彼女が目的としていたことからすれば、微妙に矛盾する発言のような気もしますが、どうなんでしょう?そこは、真相を知っているほむらに対する彼女の優しさなのか、あえて本人に自ら気付かせようと焚き付けるのが目的なのか、あるいは、純粋に彼女自身がつかの間のその世界を多少好意的に受け止めていたということなのか。あと、完全にさや×あんみたいなノリになってるのはどーなんよ。いいけど。俺得だし。嫁(杏子)の旦那(さやか)も嫌いじゃない。
最終的に、ほむらがあーなってこーなるところに関して…。そもそも、発端がほむらが魔法少女として力尽きたことが発端なんですよね。これが意図的なのか(つまり、そもそもがまどかと再会すること、そして彼女の一部を奪うつもりだったのか、それとも、彼女が魔法少女となった目的が、まどかとの出会いをやり直したい、彼女を救いたい、という思いから来ているため、その目的を失った結果、使命感だけでは戦い続けることが出来ず、作中でも語る、まどかを忘れてしまった世界に絶望した結果、想像よりずっと早く力尽きただけなのか、その辺がよく解りませんね。まあ、元々、魔法少女自体が短命みたいですし、どちらもありえそうですけど。まあ、何があっても、取り戻すことを諦めてはいけなかった、と決意する場面が、マミとの戦闘後のまどかとの会話でありますので、力尽きたこと自体は意図的ではない気がしますが。
元々、気になっていた、本編ラストで、魔女とまどかに関してきゅうべぇに話していた部分。そんなこと話すと、ろくなことにならないんじゃないのか?ということを思っていたことがありましたが…やっぱりろくなことにならなかったという。あれ自体が伏線だったんでしょうね。
ラストの展開に関しては、ある意味では自然と思いました。結局の所、あそこから話を繋げるとすると、ほむらの立場からはまどかを取り戻すということしか残らないから。そのためには、最終的にまどかの祈りによって作られた円環の理というシステムを台無しにするような必要があるわけで…。まあ、結局そこは程度問題で、本作では、人間としてのまどかは取り戻し、システムは維持するという、ある種ご都合主義的な展開になっているわけですが…。この辺も含めて、元々構想としてあったんでしょうね…。そう言う意味では、本作は自然に繋がる結論であって、無数の可能性の一つではない、正当な結末なのだと思うのですよ。…アイとか言い出す段階で、若干ウルトラC入ってる気はしますが。
しかし、感心しますね。アイデアレベルでは古典的なものも多く、個別には思いつくことはできても、それらをつなぎ合わせて一つの作品とするというのは、やはり、なんというか、一つの技なんでしょうね。まあ、それに必要なのが技術的なものなのか、才能的なものなのか、経験的なものなのかは、私には分かりかねますけど。