他人事ではない

以前これを読んだ際に、日記に書こうかなぁ、と思いつつスルーしたところ、また、スラッシュドットに関係有りそうな話題(というか、スラッシュドットのレスに先の記事が紹介されていましたし)が上がっていたので取り上げてみることに。みんな中々の食いつきっぷりで、私も正直、全然他人事じゃない話ではありますが。
リンク先を読む気がしない人のために一言で言うと、いずれも結婚に関する話題です(なお、個人的には読む価値有りと思うので紹介しているわけで、読まないことを推奨しているわけではないです)。先の方は、男性の攻撃性と結婚に関する関係性、ひいては男性の生産性と結婚に関する関連性というお話です。後者の方は、独身男性と既婚男性の職場における評価が、同じ仕事内容でも独身男性の方が低く評価されることが多い、というお話が元で、そこから結婚に関する話題が色々展開されています。読んでいて、色々思うところもあるわけで。


まず、先の生産性のお話ですが、過去の天才レベルの芸術家や研究者、それと現代のトップクラスの男性テニスプレーヤーに関して調査したところ、結婚した方はそうでない方と比較して結婚することにより生産性、成績が下がる傾向が見られたというお話。これは、子孫を残すための競争をかき立てる男性ホルモンが、結婚することで衰えるからではないか、という感じの論調でした(なお、本記事の前半では殺人などを犯す人間の多くがそういった未婚の若い男性であることが書かれており、別に生産性を維持するために未婚であるべきだ、というお話ではないですので念のため)。
これに関しては、素直にそうだと思いますねぇ。男性の場合、結婚して、子供が生まれて随分丸くなった、という話はどこでも聞きますし。自分自身も(現時点の話は後に回すとして)かねてより、自分は生涯独身で自分のやりたいことをやって生きたい、そうでないときっと自分は弱くなる(肉体的というより、精神的に、知的レベル的にと言う意味で)、そしてそれをきっと後悔すると考えてましたし。この辺の感覚は、あるいは男性だと共感を覚える方も多いんじゃないかなぁ?と思うのですが、どうでしょう?


後者のお話は、色々な意見が入り乱れており、なかなか楽しいです。いずれの意見もある意味ではその通りと思う部分もあるわけで。自分の立ち位置による感じ方の違いもあるかとは思いますが、考えさせられます。
独身であること自体が子孫を残すという意味で社会に貢献していないのだから、その分、貢献していない独身者に対する世間全体の評価が厳しいのは当たり前、と言う理屈。これは有る意味その通りなんでしょうねぇ。その分、税金の面で既婚者が優遇されてきた事実もありますし。当然、こういう意見は既婚者の方に多いのでしょうね。
一方で、独身であるのは、そうありたいのではなく、結婚できないん(結婚しないという選択をしているという人間についても、実際には選択しているつもりでできないだけの人間も多いという指摘も)だから仕方ないじゃないか、という意見。そうではなくて、結婚できるだけの収入やその他各種人間的魅力の部分で劣っているのだから低く評価されるのだ、という意見。独身者に厳しい評価を下すのは、まともな男性なら結婚して当たり前、女性は家庭に入るのが当たり前という古いモデルしか知らない老人だからだ、という意見。
また、世代によって、男性の方が余るというお話を引いている方もいましたが、これもまた当然でしょうね。過去にも同様のことを書いた記憶がありますが…そもそも男性と女性はどちらが多いのか、というお話。現在の日本の人口では女性の方が多いですが、これは寿命の差に依るものです。一方で純粋に生まれてくる人数というお話では、男性の方が若干女性を上回るというお話は良く言われています。そのため、有る程度の年齢までは同世代では男性の方が多くなっています*1。一方、男性と女性の結婚年齢に関しては、統計上男性がやや女性より年上である傾向があるらしい*2が、そうすると、団塊ジュニア以降、減少を続けている世代別の人口を鑑みると、男性がどんどん余っていくのは必然であろう。
なお、かつて、両親とこういう話をしたとき。私「どうせ私たちの世代は男性が余るのは必然だから(私が結婚できないのもまた必然)」、父「だが、人口の上では女性の方が多いじゃないか」、私「それは、寿命の違いでしょう。結婚するに適齢期の人口で比較したら明らかに男性が余ってるよ」、母「おばあちゃんと結婚するわけにもいかないもんね」、私「…(それはかなり笑えない)」。


閑話休題。では、翻ってみて、自分に関してはどうなのかというと…どうなんでしょうね。件の記事にて話題になっている30台にもう脚を踏み入れて久しいわけで、そろそろ風当たりも強くなってくるのかも知れません。一方で、うちの場合、研究所という性格上、案外その辺は緩いことを期待していたのですが…なんか先輩とか同僚とかも結構結婚している人間が増えてきていて微妙な空気が…。収入面で見ると周りが結婚している以上、結婚が不可能ではない、というレベルの収入なのでしょうか(まあ、私みたいに貯蓄がほとんど無いと土台無理ですが)。
では、人間的な部分で言うと…これは全然ダメですね。容姿、体型、みだしなみ、素行、性格いずれを取っても不適格というレベルである自覚はあります(ついでに、改善するつもりがないのが致命的)。また、仕事と趣味(あと休息)に時間とお金をフルに注ぎ込む生き方もそうですし、結婚するために今の呼び方で言えば婚活ですか、そういうものを行うつもりも全くなく。ついでに、持病という意味でも、あまり好ましくないものも持っていますので(少なくとも普通は聞いたら結婚しようとは思わないレベルのものを)。そういう意味で、全く結婚できない状況なのだと思います。
では、そのつもりが無いのかという点についてですが、幸か不幸か生物的には有る程度正常に、子孫を残すよう努力しろという内なる声はまだ上げているようでして…。ただ、上にも書きましたがそれ以上に大きいのが…めんどくせえ、という内なる声でして。更に言うと、自分という人間の限られたリソースを、必要以上に他人のために割くのはまっぴらだ、と思っているのですよ。家庭を築き、子を育てるなどというつまらないことのために、自分の能力や才能を浪費するよりは、自分のやりたいようにやらせてくれれば人類全体にとってはプラスになるはずだ、という傲慢な思考の持ち主なんですよね。そして、上でも書きましたが、私は家庭などというぬるま湯に使った段階できっと弱くなると思っているのですよ。なぜ「IQが高い」は「賢い」を意味しないのかなどというお話も有る中で主張するのも馬鹿馬鹿しい限りですが、ちょっと自慢しておくと、IQテストで言うと子供の頃で150台、今でも140台は出るのですよ*3。ただ、とてつもなく怠惰で、その能力を楽をするために使うのですけどね…。


また、話が盛大に逸れていますね。とりあえず、私の立場からは「子孫を残すのは義務、お前が存在しているのは、そうして代々祖先が子供を生んできたおかげだろうが」的な発言は流石に言い過ぎだと感じます。これは社会的な背景を無視した発言であると感じると共に、家庭持ちであることへの苦労から来る僻み、嫉妬が含まれているという指摘にも頷かせられますね(一応補足しておくと、隣の芝生は青く見えるのですよ?)。
義務であるという発言に対しては、じゃあ、結婚を法律で義務化しろよ、というレスが全てを物語っているのではないかと。望むと望まないと結婚しなくてはならなくなる(特に上述の通り絶対数で劣る女性が)、さらに場合によっては望まない相手と結婚することになるようなケースが容易に想像できます。それがとても幸せとも思えませんし、また現代において許されることでもないと思います。
また、今自分が生きているのは祖先がずっと繋いできたものであり、それを次代に繋ぐ義務があるという考えもありますが、自分が生きているのは所詮は結果でしか無いのです。今こうして人口が増えているのは出生率が2を大きく超えていた頃があって、さらに死亡率が低下したからに過ぎません。人は常に2人の男女の組み合わせによって生まれてきた流れの先に有るというのは間違いでは無いですが、しかしその時々の男女の組み合わせから生まれてきた子は、必ずしも自分に繋がっている子だけではないのですよ。多くの子が生まれた、その中の流れの1つが自分の所まで来ているだけです。その傍流では、子をなすことなく死んでいった人間も沢山いるのですよ。今や1〜2人の子しかなさない夫婦が大半なため、実感が湧かないだけでしょう。
別の記事ですがこういうお話がありまして。これも中々興味深いのですよ。この考えで言えば、現代の結婚できない、子供を養えないというのは、人1人を養うためのコストが増加しすぎた結果、そのコストが負担できずにいるわけで、過去で言えば飢えているのと同じなのですよ。ならば、飢えている集団はどうなるか。餓死により個体数が減ることで適正な数の集団に調整されるでしょう。現状は、直接的な餓死者は(多分そんなに)出ていませんが、それが子供が減るという形で現れているわけです。
その後どうなるかですが、そうして、多すぎる高齢者も含めて皆が亡くなって、世代が大きく入れ替わって、少数で安定するところまで至るしかないでしょう。その過程で長い長い暗黒の時代を経ることになるでしょうし、少数になったときに日本が今と同じような位置に居るとはまったく思いませんが、あるいは、大きな戦争なども含めて、世界的に適正なところまで人口が減るんじゃないですかねぇ。その適正な人口がゼロじゃないという保証はありませんが。

*1:なお、かつて、医療が発達する以前は、幼児期の男女では男性の方がやや死亡率が高かったため差が小さかったというお話もあります。あるいは、男性の方がやや多いこと自体が、過去の淘汰の結果の産物なのかも知れませんね

*2:まあ、大体法的にも女性の結婚が可能となる年齢の方が若いわけで…。あんまり言うと○リコンだとか言われそうだが、しかし生物的に見て、すなわち社会的要因を排除した場合において、閉経がほど近くなって初めて子供を産むのが自然かと言われると、そうではないと思う。今のような社会情勢を続けていれば、いずれより後ろ倒しになるよう進化を遂げるであろうが

*3:まあ、その上で誤解無きように敢えて言うと、こういう仕事をしていると周りはほぼ自分と同レベルか上で、さらに自分の届かないところに居る存在というのも実感させられるのですが。それだけにそういう人が結婚とかすると、なんともったいないことをするんだろうと思ってしまうのですよ。