電脳フィギュアアリスを買ってみた

以前から欲しかったのですが、引っ越し前に物を増やす愚を犯したくなかったのと、引っ越ししてからネット環境が整うまでに時間がかかりまくったのとで、ようやく購入に至りました。というわけで、本日はこちらのお話。

インストールまで

それなりに、konozamaの悪評を見ていたので覚悟はしていたのですが、割と斜め上を行くダメっぷりでした。
クライアントCDが無くインストーラをダウンロードする形式。それ自体はまあ、別にどうということもなく。(もっともそのインストーラが160MBあること自体には疑問を覚えなくもなかったが)
インストーラを起動するとユーザ名、メアド、シリアルを要求されるので入力。するとクライアントのダウンロードが開始した。当初、インストーラのサイズが大きいので、まさか、そのままクライアントをダウンロードしに行くとは思っておらず、しかも、遅々として進まない進捗を見るに、要求仕様に書かれていた2GBものデータを取りに行っているっぽいことにようやく気付く始末。回線速度にも寄るが、うちの今の回線でさえ10分単位で時間がかかっているわけで、断りも無しというのは不親切すぎる。
そして、次の衝撃はダウンロード完了直後。いきなり、クライアントが起動した…。ちょっと待て、蔵のダウンロードじゃなくてインストールまでしてるのかよ。しかも、インストール先も全く聞かれていないぞ?どうせCドライブだろうけど、そんなとこに勝手にインストールすんなボケ。今のアプリケーション類用ドライブはJドライブだというのに。こういうド阿呆なソフトが後を絶たないからCドライブには物をインストールせずに常に大きめな容量を確保はしている物の、それでも2Gもゴミをインストールされたら流石にイラッとしますね…。
ということで、インストール先を見に行こうとして…あれ?CドライブのルートにもProgram Filesにも無い。イヤな予感がしつつ作成されたショートカットから辿るため、プログラム内の電脳フィギュアなるショートカットのプロパティを見ると…Application Reference?単なるショートカットじゃないと?とりあえず、リンク先がプロパティから表示されない。しょうがないのでそのショートカット自体をバイナリエディタに放り込む。中身は2バイト文字列らしくurlが記述されている模様。読みづらいのでテキストエディタに放り込んでみると、どうも、ウェブ上のサービスにアクセスしてキーも投げつつ、そこから、アプリケーションの起動を指示される模様。httpで。なんか、キムチの国産のあるオンラインゲームを思い出しますね。
ここまで来て、結局デフォルトのどっかにインストールされ、それがweb経由で起動される形と言うことを認識。仕方がないのでCドライブのファイルの更新履歴を総当たりさせてみた。…WINDOWSとsystem32の文字が見えた瞬間に脱力しました。よりにもよって、ふざけんな!と言いたくなります。
とりあえず、この段階でメーカは一体誰にこれを売りたいと思っているのかと…。開発者ならばこんなクソ仕様だとある程度セキュリティ意識の高い中級者以上から反発喰らっても仕方ないことくらいは分かるだろうに…。なら、そんなことを気にしないフィギュア大好きのライトユーザがターゲットなのでしょうか?だとすれば、ギガ級の蔵をダウンロードしつつインストールしてみせるとかもアホじゃないか?
コピー対策のつもりなのかなんなのか知りませんが、正規ユーザに過度の不便や不快感を強いる段階で0点だ(キリク風に、そういやここ3週間ほどマガジン読んでないな…)。
とりあえず、この段階で、このソフトを購入する価値は無いと判断しました。減点要素が大きすぎてどうやっても私的には赤点を免れません。というわけで、お勧めは全く致しません。上記の意味を理解した上でそれでもやりたい人と、意味分かんないしどうでもいいや動けば、と言う方はご自由に。

実際の動作

内蔵されている物品はキューブ、カード3枚、カード立て、それにお触り用の指示棒モドキ、それにシリアルコード付きのマニュアルですね。
キューブはプラスチックのサイコロに1面だけARisの文字が書かれたシールが、その面に隣接している4面には同じ模様のシールがそれぞれ貼られています。ARisのシールの反対面はシール無しで、その面を下にして置きます。そして、上面のARisの文字の向きでキューブの方向を認識する仕様のようです。当初、ディスプレイの上から距離を取って写していましたが、アリスが現れる気配が無く。どうもある程度近く、というか、ARisの文字が大きく表示されないと認識できない模様。カードの方は認識できていたんですけどねぇ。
カードには3種類の記号があり、それらを写した上でお触り用の指示棒を使って触れていくことで切り替えと選択を行う仕様。同じ机の上にカメラを配置する場合、ある程度近くの横方向やや上から撮影することになるので、そのときのためにカード立てが。
お触り用の指示棒モドキは、指示棒とは言ってもマークが印刷された細長い紙片です。これの両面に異なる模様が描かれており、指でつつく動作と手で触る動作を意味する…ということになっています。ということになっていると言うのは、指はともかく手で触るのは脱がすためなので…。いえ、最初つついてみせたら倒れてしまったので、手の方に変えて触ったら脱げた…と。なんかなぁ…。あと、この両面で先ほどのカードの内容の切り替えと選択を行います。
以上、基本的な同梱物はこんなところ。あとは、放って置いても喋ってるし色々着せ替えたり、プレゼント与えてご機嫌取ったりでレスポンスや着替えの内容が増えたりするらしいです。まあ、その辺は個人的には割とどうでもいいですが。
さて、もう少し動作の中身の話に。konozamaのコメントにもありましたが、全体的に動作はもっさりしております。というか、もっさりして見えるというか。というのは、カメラに映し出されている画面のフレームレートがかなり低いためです。30fpsのカメラでは遅いとか書かれていましたが…5fps程度しか出ていないのではないかという感触ですね。カメラのフレームレートが高い物を使用すれば早くなるというコメントも見ましたがやや疑問ですね。いえ、もっさりしている原因次第なのですが。もしもっさりしているのが、30fpsで画像の認識と判定をさせると処理が重くなりすぎるとか、人間にとって操作が敏感すぎてついて行けなくなるからという理由であえて抑えられているならば、カメラフレームレートを上げても変化はしないでしょう(するかもしれないが、意図としてはあえてやっているのだから変化しない方が正解というか、変化するのは実装が意図したとおりになっていないというか)。そうではなくて、画像の認識の精度を上げるために、複数のフレームをひとまとめにして、そのまとまりずつを1コマとして判定しているから、という可能性も考えられますが…その場合、演算処理やデータの入出力、バッファサイズなどが十分であれば、ひとまとめにせず、個々のタイミングで前後のフレームも参照すれば良いだけな訳で。それをしないのは結局、要求性能が高くなり過ぎるからということではないでしょうか。ちなみに、タスクマネージャにてPCの処理能力を常時100%使用するというようなお話もありましたが、クライアントが改良されたのか、うちではVGAで動作して負荷は30%程度、それも明らかに片側だけに負荷がかかっている状態でした(参考までに、うちはCore2のE6600、メモリ2G、グラボがゲフォの可哀想な8600GTS、そろそろ次が欲しいけど、OSがねぇ…)。軽いとは言いませんが、平行して他の事務操作を行っていても特に支障はなく。なので、もっさりの原因がCPU処理能力が原因とはあまり思えず、むしろ仕様面の問題なんじゃないかと(I/Oの速度的な限界の可能性はありますが)。なので、これを解決するのは認識や描画のアルゴリズムの改良か、要求性能を引き上げるとか、高性能マシン向けに高速認識、描画モードを備えるとかそういう対応が必要なんじゃないかなぁ、と。
あとは、解像度?カメラの方から変えられるみたいですが、どうなんでしょうね?上げればもう少しアリス自身が綺麗に見えるのかも知れません。私の動かしたVGA程度の解像度では、これをフィギュアと呼ぶにはちょっと品質が足りていない…という印象でしたが。
画像認識に関してはキューブの上面と側面からキューブを原点として、カメラ、つまり視点の方向を導出しているのでしょう。極論すれば、上面の文字の向きと面の形で方向は認識できるはずですし(直感的ですが、字の向きで平面の角度は決まりますし、上下方向の角度も面の形から導出できそうですし)。あとは、面のサイズに表示するアリスのサイズを合わせれば良いはず?側面も使うことで認識精度や演算処理の単純化などを行っているのかも知れませんが。まあ、原理はそれなりに単純ではありますが、それが実際に一般のPC上で出来るようにした(ソフトウェア的に)、またなった(ハードウェア的に)ことに感慨を覚えるとまで言いませんが、興味が惹かれたわけです。…まあ、1時間もしないうちに飽きてしまいましたので、(インストールに関する評価を除いたとしても)価格だけの価値があったかどうかは疑問ですが…。