本日の一言言っておきたいニュース

私はテレビを全く見ないため、殆どのニュースソースをネット及び新聞に頼っています。しかしながら、あるいはだからこそ、かなりの量の記事には目を通しているつもりです。…いや、業務時間中にさぼってニュースばっかり見てるとかそんな…(何故目をそらす)。

ネット上の記事やニュースの利点は、意外に多面的な意見が見られることでしょうか。もちろん、立場や知識の違いから異なる結論が導き出されていたりするわけですが、そうすると、自分はどの考えを支持するのかといったものの見方などができて面白いです。この記事には深く感銘を受けた、他人に伝えたいと思う場合もあれば、逆に、この記事はダメだろう…と思うことも少なからず。今回は、そう言うネタを少し取り上げてみようかと。

というわけで、本日のお題はこれ。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080625/309458/

はっきりと申し上げますと、ダメダメだろうという例。「電気が石油を置き換える日,無線が有線を置き換える日」というタイトルです。内容はタイトルそのままですが、著者にとって常識が覆された例を2つ挙げているそうです。文章としても大して面白味が無いのですが、それ以上に内容が「はぁ?頭おかしいんじゃない?」と言いたくなる。

まず、先は電気が石油を置き換える日ということで、中国でガソリンで動くものより電気を充電する電気自転車の方が経済的というお話。内容は、私の常識では石油より石油から発電した電力の方が効率悪いはずだし手間かかってるんだから高いはずなのに、中国では安いんだぜ?なぜって?実際そうなんだからしょうがないじゃない?って言ってます。ツッコミどころ満載です。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080627/163841/?P=1

こちらの記事の4ページ目からの引用です。

ハイブリッド車や省エネ家電の販売低迷は、燃料や電力の価格が低いことによる影響もある。原油や石炭の国際価格が高騰するものの、中国政府は国民生活への影響を最小限にとどめるため、国営石油会社などに補助金を拠出して燃料や電力の小売価格を抑制している。

今年6月、日本のレギュラーガソリンの全国平均小売価格が1リットル当たり172円だったのに対して、中国のそれは6.03元(約90円)。東京電力の一般家庭向けの電力料金は1キロワット時当たり21.04円だが、中国のそれは0.56元(約8.4円)だ。燃料や電力の価格が国際相場より安いため、省エネのインセンティブが働きにくい。

つまり、前提として中国では小売価格の調整を行っているので、市場価格なんてのは補助金次第で全然変わってくると。

また、電力で動くモーターと内燃機関であるガソリンエンジンで言うと、それだけでみたエネルギー効率ではモーターの方が遥かに良いです(内燃機関の効率に関わるカルノーサイクルとか調べてくださいな)。それでも、電力の発電に火力発電を使っているのだからやっぱり石油を燃やしてるじゃないか、とか、送電のロストかもあると言う主張もあるでしょうが、一方で内燃機関は規模が大きいほど効率が良いことも挙げられます。こちらは試算に関する明確な基準がないですがこのような記事や

http://premium.nikkeibp.co.jp/em/hp/column/04/index.shtml

このような記事もあります。

http://www.geocities.jp/ja3dew/AIRCON.html

また、現在の国際的な原油価格は1バレル140ドル程度と高騰しています。その高騰はすぐには発電の割合をシフトできない電力の値段にも影響を与えていますが一方でこのような情報もあります。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/137/index.html

こちらの3ページ目からの引用です。

しかし本筋から言えば、原油価格は1バレルあたり70ドル前後でないと危ないのだ。そもそも原子力とかオイルサンド(高粘度の重質油を含む砂ないし砂質岩)など代替エネルギーは60ドル程度から競争力を持つので、原油が長期的に100ドルを超えていれば明らかに淘汰が起こる。

 今までの40年間を見ると、こうした代替エネルギーが入ってくるたびにOPECは値段を下げて新規投資をつぶそうとしてきた。しかし今回は世界的にCO2削減など別な要請もあるので、代替エネルギーは需給におびえることなく一気に入ってくる可能性がある。したがって現在の原油価格の高騰は、投機資金の一時的な受け皿となったために引き起こされた過渡的な異常事態と見てよいだろう。

こうなるとガソリンが高騰している現在において、他の発電方式も組み合わせている電力の方がコスト的に安い状況に陥ったとしても何ら不思議はないと思うのですが?

次に、無線と有線に関しては、もっと酷いですね。無線の方が有線より安い、だそうです。

まず、比較対象が価格と導入の手間のみ。回線の安定性や、リンク速度、品質なども全くの無視ですね。そもそもの用途というか、それによって得られる通信環境が全くの別物だという認識がないのでしょうか?ペットボトルで買ってきた水が1ヶ月の水道代より安いのは不思議だ、と言っているようにしか聞こえません。

「無線を世界に向けてブロードキャストする」以下の下りなども、そもそもPHS端末などを利用したデータ通信の仕組みを知ってますか?と言いたくなる謎発言。無線にしなかった理由は、「美しさの欠片も感じなかった」から?えっと、釣りですか?釣りですよね?

いや、本当に真面目に言わせていただくと、貴方、本当にそれでITproの記者ですか?