福島第一、第二原発ヤバイよ

7:30現在、福島第一原発の内部、中央制御室で通常の1000倍の放射線が感知されていて、正門付近でも通常の8倍の放射線が感知されているとか。報道されるタイムラグも考えるとかなり不味い状態ですね。福島第二原発も危険みたいですし。
報道では必要以上に不安をかき立てるような発言はされていませんでしたが、放射線の増大は、確実に施設の一部が破損し、放射性物質が漏れてきているわけで。その状態まで来ると、今後冷却が追いついて何とかなることを期待するのは困難そうな気がします…。むしろ、良く一晩もったなぁ、という感じですが…。


原発で使われている核分裂反応は、分裂する際に高速な中性子が発生し、その中性子がさらに分裂を誘発することで、放っておくことで反応が加速するというものです。原子炉は、内部に放射性物質が格納されているため、密閉状態であり、直接内部を冷却することはできません。というか、そんなことをすると、放射線放射性物質放射能を有する中性子が拡散しますし…。中性子を吸収する制御棒の挿抜で反応を制御する訳ですが、原子炉の外側からも熱を吸収するための水等の循環を行い、この熱を発電に使用するのです*1。ところが、現在のところ、通常の発電などによる外部の冷却が止まっており、炉の冷却が十分に行えていません。
原子炉の冷却が十分に行えず、高温になると核分裂反応は加速します。これは、温度が高いほど中性子原子核と衝突し、反応する確率が増えるためです。乱暴に言うと、箱の中で沢山のピンポン球を転がしたとき、ピンポン球の速度が速いほど、同じ時間で衝突する回数が増えるイメージです。反応回数が増えると、熱が増え、更に反応回数が増え…そうすると一気に加熱が進むことが予想されますね?元々原子力発電は、この加速するかしないかのギリギリのバランスで熱を取り出し続けることで発電を行うものなのです。ところが制御ができなくなり加熱が進むと、放射性物質を格納していた原子炉そのものの圧力が高まり爆発するか、溶けて破損するか…メルトダウンに至るわけです…。
とまあ、そういう意味で、既に破損し始めている状態というのは、かなりキテます。必要以上に不安を煽るつもりは無いですが、反応が進むほど制御は難しくなるわけで、多分既に打つ手が無い状況ではないかと…(電源が復旧すればあるいは、という報道がされていますが…)。事実上、メルトダウンは不可避の状態になっているのではないかと…。そうなると、もう一帯にどれだけの核燃料が有ったか、ということだけが被害の規模を決めるはずです…(雨とかの気候の影響もあると思いますが)。


13:30現在。今のところ、本当によく頑張っていると言うのが本当のところでしょう。完全な放射性物質の閉じこめは不可能と判断して、内圧を下げるため蒸気を解放し、さらに原子炉に直接水を注入しと、とにかく爆発して放射性物質がまき散らされる状態だけは防ごうという状態ですね。もう、泣けるレベルですが…被爆の恐れに直面しながら作業されているわけで…。


14:30現在。外でセシウムが確認されたらしい。ということは核燃料が漏れ始めているということです。テレビの東大教授のコメントは極力楽観的に語っていますが、本音はちょっと違うのかも…。
ちなみに、先の7:30の放射線の検出とどう違うのかですが…。簡単に言うと、前は、冷やすためにちょっと汚れた水が漏れただけなんですが、今回は汚染物質そのものが出てきたというレベル。
先のものは、直接燃料のウランが漏れたんじゃなくて、ウランを冷却するための水が漏れた、というか、多分あえて蒸気として逃がしただけ*2。冷却に使用する水は、燃料棒の外側やさらにその外側を循環するわけですが、これらの水は直接燃料に触れていないとはいえ、核分裂反応で発生する中性子で放射化するのです。中性子は核燃料の被覆を通り抜けます。むしろ通り抜けるのでその外側にある制御棒で吸収して反応を遅らせることが可能なのです。中性子は水にも吸収されます(むしろ吸収されないと外に出てくるので危険なんです)。水は中性子を吸収することで、不安定になり放射化します。これらの汚染された水は、もちろん、放射線を発しますが、核燃料のように反応が加速していくほどの反応はしません。なので、放射線のレベルも限られています。
それに対して今回の話は、密閉されているはずの燃料棒の被覆が溶けて、直接漏れ出てきたということ。つまり、完璧な放射性物質が出てきました、ということ。これは、内部が順調にメルトダウンを起こしているということなわけで。それはもう制御できないと白状するしかなくなったということであり、汚染レベルが桁違いになるのですよ…。状況は分かりませんが、漏れ出した量によっては反応が加速する可能性もあるはずです…。


17:10現在。これは終わったかもしれん…。17:15から会見らしい。これは、強烈に汚染されるだろう…。


17:27現在。楽観論の東大教授が、ついに放射性物質防ぐ最後のバリアである外壁が吹っ飛んだのかもって認めた〜。をいをいをい、都内でも大丈夫かな?というか、爆発もう1時間以上前だし、今更ですねぇ。酷すぎる…。


17:55現在。枝野官房長官の会見を見てますが…。
今更ですが、昨日初めて原発のニュース聞いてからずっとヤバイと思っていましたが…やっぱりどうにもなりませんでしたか…。制御できなくなった段階で、どこかの段階でこうなる予感はしていましたが。というか、パニック防ぐためであって、基本的に原子力の専門家…どころか私みたいに囓ったことが有る程度の人間でも、絶望感しか無かったと思うのですが。
とはいえ、最悪ケースをちゃんと想定して情報を出すべきだったんじゃないかと思うんですけどね…。まあ、地震津波・火災による複合災害が起こっている中ですので、そこに最悪ケースの対応を求めることが無理だったのかもですが。本当に泣けてきます。さらに1号機以外もまだまだ危険なのは確実で…。その上、汚染されて近づけないとかいうと、もう、2号機以降も待つばかりじゃないですか…。
もう少しすればもっと事実関係も出てくるのでしょうが、後から言っても仕方ないですよね…。


18:00現在。原子力安全・保安院の会見見てます。

*1:軽水炉とか重水炉とか方式は色々ありますし、直接の冷却剤はナトリウムなども使われますが、興味があったら勉強して下さい、私の知識も多分古いですし

*2:水が気化すると熱を多く吸収するので。でも冷却水の蒸発をすればするほど冷却効率は下がるし、水も消費してるわけだしで、悪化するのは分かっていたはずで…それでもやるしか無くて…泣けてきます