人類は衰退しました

ちょっと気になっていたのですが、特に買うものが無かったので買ってみることに。そして、他の未読のラノベダンボールの中に沈めたおかげで、先に読むことに。
なんだこの、頭の中お花畑…。いや、それなりに面白いんですが…。
あんまり、既存のディープなネタに乗っかることなく…それなりの知性を感じさせる文章は、昨今多いお約束が豊富なラノベとは一線を画すような、そこまでは言い過ぎかも知れないような感じですね。
とりあえず、お気に入りはこれ。

しかもただの紙ではありません。
そう……ダンボールです。
強度があり、どのような重量物でも梱包することが可能です。
その用とは広く、旧人類最盛期には寝具や住居にも利用されたと伝わっています。

人類の滅亡というテーマは、まあ、在り来たりというか…。最後に残った人類の物語とか良くありそうですしね。そんな中で本作が、異彩を放つのは、そのタイトルの通りそれが「衰退」から来る物で、言わばゆっくりとした死なんですよね。人類が滅びるとして、良く語られるような第三次世界大戦だとか、核戦争だとかの引き金が連想されるわけですが、この世界はどういう想定なのかが気になりますね。つまり、

  1. 最初から最後まで緩やかな衰退
  2. 構造的な問題を抱え衰退を余儀なくされた頃に、引き金となる事件(戦争とか)を経ての衰退
  3. 最盛期に発生した突発的な(隕石とか疫病とかの)事由からの衰退

のいずれなのかな?というところが…。まあ、今後読み進めれば分かるのかな?とか思わなくもないのですが…どうなんでしょうね。1巻だけ読んだ限りでは、明確な最終戦争というか、大破壊というか、そういうものを彷彿とさせる描写が無いような気がするんですよね。もっとも、個人的に現実に起こりえるシナリオとしては、1.は多分無いと思って居るんですけどね…。
で、上記の問題とも絡むわけですが、じゃあ、妖精さんって何なのよ?というのが、もう1つ気になります。人の衰退と何らかの関係があるのは確実でしょうから、あとは、妖精さんが「人の衰退の原因」なのか「人の衰退が原因」なのか。
こういった、謎の部分については明かされるんですかね?それ自体をテーマとするのも面白そうですが、そんなことを知らなくても、この世界の物語は展開するというか…。
多少の残念な点というか、違和感はというと、主人公の知識がちぐはぐに感じる部分があることですかね。衰退した未来で知っていることがちょっと変な気がする物を知っている印象があるんですよ。未来なんだから、過去にそういうものが存在していたことを知っているのは不自然では無いのですが、この舞台となっている世界でリアルに存在している可能性が低いのに、まるで見たかのように知っている場合があるような…そういう感じですかね?特に建物とかの廃墟に関する描写で顕著で、廃墟になる以前を知らない人間が、廃墟を廃墟と認識できるんだろうか?という感じで。いや、それは我々の常識を元に書くと、必然的に知っていることを当たり前と捉えるから仕方ないというのもありますし、さらには、そういう当たり前を必要以上に説明すること、説明を受けることが楽しくはないということを考慮した結果なのかも知れませんが…。
で、後書き見て???と思ってググってみて「なんだ、思ったより身近なような」。いや、全然そんなことは無いんですけど。つーか、名前は知ってるけど、やったことがあるのは無いなぁ。シナリオ重視とは相性悪いからかな?