ノーベル化学賞に下村氏

まあ、物理学も取り上げた以上…まあ、書いておくか…なんて後ろ向きな書き方は失礼ですね*1

受賞、おめでとうございます。

しかし、何ですね。記事を読んでいると、二言目には「これで、理系に対する希望が生まれて、理系離れが防げることを期待」とか。うんざりしますね。待遇の改善と国としての政策を変えない限り、状況の変化なんてするわけ無いでしょうに…。そもそも、今回受賞されている方々の評価されている成果って30〜50年前の成果ですし。賞金も出ますけど、現在で頭割りすると一人数千万円程度ですしね。名誉で有ることが一番だとかきれい事を言うのは簡単ですが、それに夢を持て、と言われても…。

待遇に関しては、まあ、日頃から愚痴ってますから、いい加減しつこいとして置いておくとして、公共事業と言えば道路と箱物しか想像できない貧困な創造力を何とかしていただきたいものです。本来、経済の成長に最も寄与する、あるいは費用対効果に優れる投資対象は研究費であるという話もありますが、国立大学の独立行政法人化とか、頭が沸いてるとしか思えないような制度を導入してみたり。

もちろん、研究費が必ずしも有効に利用されておらず、また、その評価が出来ていなかったといった問題は有ります。だからといって、自分たちで採算を挙げろでは、何のための学術研究なのだか…。旧来の制度のままで良かったとは思いませんが、それは研究の価値と費用対効果を正しく評価することが出来る人材が、評価する側に居ないことが根本的な問題でしょう。

国家公務員にも理系の枠はありますけど、文系と比較して将来の出世や待遇の改善も望むべくもなければ、その道に進むのが馬鹿馬鹿しいとしか思えませんね。母校のある教授に言わせれば、理系で国家公務員第一種受けるなら、一位か二位になれなければ、合格しても資格だと思っておけ、それ以下なら民間行った方がよほどマシ、らしいです。まあ、官僚だって、結局は将来の天下りでの待遇が素晴らしいからなりたがるだけだという話ですしね。ましてや、理系の場合、安月給で将来の希望もなければ、わざわざなりたがる人間もそういないでしょう…。

結局、理系離れが問題だと言っている人間の大半は、実感もしていなければ、理解もしていないと思えますね。理系離れは問題だ、でも自分はならない、そして自分はならないから自分たちの待遇を悪くしてまで理系の人間の待遇を良くしようというつもりはない、というところでしょう。

ところで、じゃあ、偉そうに言うお前は理系離れの問題を実感しているのか、と言われると、ちょっと辛いところですね。私自身は研究による科学技術の発展が、特に日本のような資源に恵まれない国において豊かさを生み出す源泉であり、国を挙げて取り組んでもおかしくないと信じています。ただ、現状の理系離れがどの程度深刻であるかを実感として知っているかと問われると、実感は無いですね。実際のところ、理系の人材不足が問題だとか言いますけど、本当にそれが深刻な問題となりかねないことを実感しているのは、実際に研究の現場などに長年立ってきた人間くらいじゃないですかね?私には実感できるだけの経験値が足りません。

結局、自分たちがやっていることがどれほど大事か、というのは実際に経験した人間でないと実感が湧きませんし、一方で人間は自分の都合の良い立場でだけ物事を見がちですから、門外漢に正しく評価して貰おうなどという方がおかしいのでしょうけどね。

まあ、国に対して言いたいことを軽くまとめると

  1. 基礎研究などの企業がやらないが、将来において大事な分野の研究に優先的に投資して下さい
  2. どういう研究が該当するのかが分からないのなら、分かる人間を幅広く雇って下さい
  3. ろくに投資もしてこなかったのに、ちょっと調子いいからと言うだけで、乗っかって利益だけ吸い上げようなんて甘い考えをいい加減捨てて下さいね、ITにしろアニメ産業にしろ、それまであなた方が何をしてくれましたか…

特にオチもないけど、以上。

*1:まあ、先日のお話は、日本人の複数人の受賞が初だったとかいう理由で話題性が高かったのも事実ですが