コンビニ商品に関する寒いお話

私は寮におりますが、今は寮での食事を申し込んでいないため、かなりコンビニの利用頻度が高いです。で、そんな中、セブンイレブンにて見かけた例に関しまして。

チキン南蛮の390円の商品と380円の商品が同時に並んでいました。

新商品は10円値下げで、容器のサイズが3分の2に…。カボチャなどが少し足されていましたが、カロリーも800kcal弱から550程度と3分の2程度に。それが同時に陳列されている様は、冗談かと思えるほどでした。一方で新商品が明日からのスタンダードになるのも見えているわけで、こうして露骨に並べられると、二度と買うか、と思いましたねぇ。

ちなみに、同商品は1年半ほど前にも値段据え置き、中身減(前回は容器のサイズの変更はありませんでしたが)での実質値上げをしてるんですよね。以前の商品は1000kcalを越えていましたから、(それが高カロリーすぎたという議論はこの際置いておくとして)その当時から言えば量はほぼ半減してるのではないかと。

物価高の傾向は分かりますし、商品の内容量が多少変わっても、商品の製造や輸送にかかる費用や販売現場での人件費などは大きく変わるものではない以上、原価低減の効果が限定的なのも分かりますが、その原価低減の結果が消費者の受け取る価値の大幅な減少というのは不誠実に過ぎるでしょう。実際に商品を値上げしたという事実を前面に出すことなく、量を減らすことでさらなる売り上げの増加まで見込めるのではないか、などと考えていそうなのが…。また、原価以外でかかるコストが同等なのであれば、原材料を減らすことによって実質的な商品価値を下げるより、商品価値を維持した上で原材料費の高騰分を上乗せする方が、トータルでの価値が高くなるのは明らかでしょうに…。

おおざっぱな例ですが100円の商品の原材料費が20円、コスト50円、利益30円だったのが、原材料費と燃料の高騰によって、そのままでは原材料30円、コスト60円となってしまいそのままそれを商品の値段に転嫁すると

原材料費20円+コスト50円+利益30円=100円 …(a)

原材料費30円+コスト60円+利益30円=120円 …(b)

となると。消費者には20%の価格上昇という形での負担増になります。ところが、この形では、コンビニ側としては20円の値上げしているにも関わらず、商品の売り上げに対する利益率は悪化しており、また値上げによる売り上げの減少が見込まれるため、実際にはさらなる値上げをしないと従来と同等の利益は確保できません。一般的な、産業が苦しんでいるのはこのような構図になっているからですね。まあ、ここでは売り上げの減少の効果に関しては置いておくことにしましょう。

一方で、今回の例のように原材料費とコストを削減した場合は次の式になります。

原材料費20円+コスト50円+利益30円=100円 …(c)

コストに関しては60円かかるところ、商品サイズが小さくなったとか重量が減った分でコスト増加の10円を吸収できたと考えています(というか単に面倒くさいだけですが)。(a)と変わっていませんね。ところが、この100円の商品を購入した消費者が受け取る価値は、原材料費を30円を20円に減らしたことによって3分の2に減っているわけです。ですので、以前と同じだけの価値である原材料費30円分の商品を購入することを考えると、この100円の商品が1.5個分必要になります。ですので実際にはこうなります。

原材料費30円+コスト75円+利益45円=150円 …(c)'

つまり実質的には先の例と比較して消費者に50%の負担増を強いている形なのですね。特にこの形で問題だと思うのは、単一の商品の価値を減らしたことによって、単純にコストを上乗せした(b)の例と比較して(c)'の例では、同等の価値を生み出すためのコストがさらに大きく増加していることです。そして、結果的に非効率な生産スタイルを行っており、しかもそのコストさえも消費者に転嫁しているのが特に問題だというのが私のスタンスです。まあ、大分乱暴な計算でしたが。

ちなみに、他の商品で、量が目減りしたなぁ、と感じる例は、サラダ類や野菜スティックに入っていたキャベツの量ですかね。サラダ類は特に把握しやすく、容器のサイズが変わらず、量だけ減っているため上ブタと中身の間の隙間が確認できると思います。

コンビニのお弁当などの商品の場合、種類の入れ替わりも激しいこともあって、なかなか全ての商品の価格の変化を把握するのは難しいです。また、新商品として置き換えるまでに、しばらく期間を置く例も多く、消費者としては気付いたらいつの間にか値上がりしていた、量が減っていたという例が殆どなのではないでしょうか。おにぎりやパンといった商品に関してもここ1〜2年程度で10〜30%程度の値上げしているように見えますし。

今回の例は、あくまで私の身の回りの例と言うことでセブンイレブンを名指しにしていますが、これに関してはコンビニ業全体に共通する話だと思っています。そして、今日昨日に始まったようなことでもないとも。一方で、この不況下において唯一躍進しているコンビニ業を支えている理由の一端(というより大半)は、このような顧客に対して不誠実な(と私は感じる)体質、あるいは特性なのではないかと思うのです。以上、消費者としての値上げに対する文句と、非効率性に関する苦言とが混ざり合ったような変な文章になってしましましたが。

ところで、以前、コンビニでの新製品と称して、量削減、実質的な値上げに関して少し言及していましたが…あまりに、露骨な(というより店舗側の対応が不味い?)例を見かけましたので、素直にこちらのスタンスで書くことに、踏み切った次第です。元々、この手の話を直接書かなかった理由に関してですが、消費者の立場で定量的な比較と証明が極めて難しいからです(例えば商品を直接比較し辛いように入れ替えまでに一定期間を空けているとか、意図的にそうされているのだと思いますが)。そういった裏付け無しに、話をすること自体がイヤだったのですが…さすがに目に余るなぁ、と思った次第です。

私はコンビニが好きだ。

私はコンビニが大好きだ。

でも、何時までもお前らの奴隷だと思うなよ?