なれる!SE:それなりに

うん、まあ、それなりに面白かったです。ただ、一番素敵なのはコンセプトで、内容に関しては…んー、まあまあかなぁ?という程度でしたが。なんというか、修羅場のエピソードが微妙…。解らなくはないですが、伝わっているかと言われると、ん〜…みたいなところも。まあ、それは、ある程度そっちの業界に近いからそう思うのかなぁ、とか。
ネットワーク専門の天才SE*1って感じで描かれているヒロインですが…ん〜、普通じゃん…って感じで(新人である主人公の目から見たら、ってことなのかも知れませんが)。いや、マニュアルなしでルータの設定に精通していたらすごいとは思いますが、そんなもんメーカーや機種によって違いますからねぇ。それを覚え込むほどに何度も扱ってきた、というのは解りますが…製品の代替わりもそれなりにある業界ですし、ファームのアップデート起きるのにマニュアルなしで作業するのもどうなんだろう?まあ、確かに私にはできませんし…客用じゃないデバッグ用コンソールでハードウェア面のテストやデバッグやってたことくらいしかないですので、その辺の感覚はイマイチわかりませんが、マニュアルを見ている限りでは覚える気がしないというか…。まあ、Cisco関連はそっちの資格とかもたくさん有りますし、私も勉強のために買ってみた参考書とかも持ってますけど…(結局、殆ど読んでませんけど…)。しかし、そう考えていくと、ネットワークの天才ってなんなんだろう?とか。とりあえず、ルータの設定に天分の才を有しているというのは…才能的にはなんか悲しいッスね。
用語に関してはどうなんでしょうね?一応、私もネットワークを専門とする研究職のつもりなんで、基本的には常識の範囲内の用語って感じで読めてしまいましたが、一般的な感覚がよく解りません。ルータとかNATが一般人には通じないのか?とか。20世紀の頃じゃないんだし、今や日常用語…だよね?と思っていたのですが(やや誇張)。
あと、多少、年代(多分、著者さんが携わっていた頃からの)を感じさせるのが、データセンタ内のケーブルが殆どFast Ethernet(すなわち100M)で描かれていることですかねぇ。PCでも1Gが普通の昨今、どんなサーバなんだぜ?って感じで。あと、スイッチとサーバの間ってクロスケーブルなんでしたっけ?たいていネットワークノードと端末の間ってストレートケーブルだったと思うのですが。っつーか、まあ、1Gだと、そもそもどっちでも繋がるように出来てしまっているわけですが…。


まあ、そんな感じで、否定的なところばっかり挙げてしまっていますが、基本的にはおすすめしたいところ。引っかかるところも無くはないのですが(業界的に非常に近しいのもあるのでしょう)楽しく、あっさりと読めました。あとあと、この業界なら、客向けのネットワーク構築の実務経験は無いけど、私でも経験者として転職できるかも!とか、ちょっと自信を持てました。まったく、その気は起きませんが…。
さて、作品的には、語られていない要素が結構あるので、これ続編でも出すつもりなのか?とかちょっと思いますが…どうなんでしょうね?語られていない年齢とか、経歴とか、出てきていないキャラクターとか伏線はいっぱいなんですが。

*1:このネットワーク専門なのにSEって段階で矛盾しまくっている気もしますが